失われた30年

日本の失われた30年と言われる中、こんな風潮がずっと続いてきました。

①既得権益を打破して構造改革を!

 既存のビジネスの構造は「既得権益」とみなして、これを壊していくことこそがイノベーションである!というような考え方。

 例えばこの中心ともいえる竹中平蔵氏の有名な言葉に、「会社の正社員は既得権益者である!」というものがある。(竹中平蔵氏は、人材派遣業務などを行うパソナの元会長。東京都のシニア支援事業の受託先は欧州の人材派遣企業のアデコ社。)

②昭和的マネジメントからの脱皮を!

 旧態依然とした企業は全て意識が低く、そのためには意欲の低いミドルシニア男性には早期退職してもらう、女性や若手の抜擢の数値目標化する、日本式マネジメント(終身雇用、年功序列、企業内労働組合)を破壊する。

ここでの”既得権益者”は、男性の中高年層やマネジメント層。

時には、まったく成長に取り残されているGDPでさえも悪者扱いで、「もう経済成長などいらない!」とされることもある。(”すでに日本だけがしてないじゃん”というツッコミは彼らには届かない)


ここで大事なのは、①は新自由主義的(ネオリベ)発想であり、②はコミュニズム的発想に近いという点。

①はビジネス・エスタブリッシュメント層の方(元外資系コンサルなど)が強く主張するし、②についてはネットやメディアなどを中心に叫ばれることも多い。

様々な意見もあるし、私自身も昭和的マネジメントには少々痛い目をしてきたこともあり、”このままでよい”などという気もさらさらありません。

しかし一旦こうした言説はわきに置いて、日本人なら自分たちの文化である「和を以て貴しとなす」に立ち返り、違いを受け入れることが令和には求められるように思います。

(ちなみに、聖徳太子の憲法17条の「和をもって貴し為す」の後には、顔をあげて皆で対話をせよと書かれています)

スクラップ&ビルドはいかにも西洋的であり、私たち日本は「八百万の神」の国。ダイバーシティ(多様性)は、なにも一神教の西欧に言われなくともすでに何千年も前からこの地に存在しています。

(おまけでいえば、「ダイアローグ」とか「ディスカッション」とかも、前述の通り、西欧に言われるまでもございません)

誰かが私的目的で宣う安直なルサンチマンに耳を傾けるのではなく、自分たちの手で豊かな日本を創り直す必要があるとしみじみ思います。