統計のこわさ

ここのところ政府筋より頻繁に聞く増税案ですが、一般消費者にとっては税率も上がるわ、物価高騰になるわ、の中で、インボイス制度はじめなぜそんなに増税を押し切るのかと思っていました。

先日、ある企業のキャリア研修でお話しした、総務省統計局が発表している家計調査報告の資料で意外なことを発見しました。

令和3年度の総務省の家計調査報告ですが、これを見ると、2人以上の世帯の世帯収入は平均で約60万円で支出を除く黒字が約18万円となっています。平均で毎月18万円が貯蓄されております。

2018年のデータと比較しますと、約4万円の貯蓄増(!)となっています。つまり、統計上は「皆さん貯金できてるやん!」ということになります。

ところがよく見ると、住居費の部分がとても低いことに目が行くと思います。ざっくり計算すると、3~4万円です。データは2人以上の世帯ですので、この値段で住んでいる人は、都市部ではまずいないでしょう。

なぜこんなに低いのかというと...

・家賃を支払っていない人も分母に入れて計算している

・住宅ローンの返済は”費用”ではなく”負債の減少”なので、組み入れていない

という原因によるものであり、いずれも実態を乖離させる要因になっています。

ちなみに住宅ローンの支払い平均額は13万/月くらいとされて居ますので、少なくともキャッシュフローベースではこちらの金額を引くことになります。

消費税を大手が集まる経済団体の言う通り20%程度まで上げていき、世帯収入がそのままだとすると、平均の家計収入がゼロもしくはマイナスに近づくでしょう。

政策を決める際に、こうした実態を反映していないデータで、「一般庶民の貯蓄は増えているんだから、多少税金上げても良い」「庶民の貯蓄が多いので消費税(という名の値上げ)税率をあげても良い」とミスリードしているのではないかと推察します。

(家計を複式簿記で考えるのってどうでしょうね。