複業が当たり前になる~「複役社会」を考える フリーランス編

 

第九回:複業時代におけるフリーランスについて考えてみる 

 

 今回は複業が当たり前になる「複役社会」において、個人の働き方、特にフリーランスについて考えてみたいと思います。

 フリーランスとは、wikipediaによると特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人となっています。Free(どこにも所属契約していない)lance(戦闘能力)という語源があり、戦闘能力が職業能力と歴史の変遷で意味が変わり現在の意味となったそうです。政府の働き方改革にも「非雇用型テレワーク」という文脈で紹介したり、公正取引委員会がフリーランスの保護に取り組んだりなどしています。

 

●フリーランスの実態

 

 まず、フリーランスの実態についてみてみましょう。

 

昨年内閣府が初めてフリーランスの人口(推計)を出しました。

 

 

これによると、フリーランスは約306万人、一人社長(株式会社などでの一人法人)を加えると、約341万人と言われています。日本の就業人口が約6500万人と言われていますので約5%前後、働く人の20人に一人がフリーランスになります。

 またフリーランスの所得については、次のような発表がされています(内閣府)。

 

こちらでみますと、フリーランスの所得は517万円、中央値は300万円台となっております。フリーランスの平均給与と中央値の実態もさることながら、自営業でずっと来た人の方が以前サラリーマンをしていた人よりも稼げているという実態などは興味深いです。

 

●フリーランスの向き/不向き

 

 私はフリーランスは向いている人とそうでない人がいると思っています。もちろんビジネスパーソンは成果を上げることは重要ではありますが、これまでの日本の教育などを考えると、団体戦を重視したり組織で働くことを前提とした教育なども影響して、必ずしも全ての人がフリーランスに向いているかというとそうではないと思います。

 

では、どんな人がフリーランスに向いているのでしょうか?

 

まず、フリーランスで多い形態は、当然ながら、個人で知識や経験を持ちスキルを発揮できる人になります。代表格は「士業」ですが、専門性を持っていることが条件です。更に言えば、その持っている専門性が組織にいるよりも個人でいる方が発揮しやすい方が望ましいと思います。

当然ですが、ビジネスの内容がたくさんの資源(モノ、カネ、ヒト)を必要としなくても成立することも重要です。多くの資源を必要とせずとも成果を出せる仕事が条件になるでしょう。

また、一人でやりますので、基本的には楽天家であることも大切です。実はフリーランスこそ、異なるスキルを持った交友関係(ビジネスの面でもそれ以外でも)がとても重要なのですが、そもそも楽天家の人でないと人は去ってしまいます。

 そして、自分が意思決定できるので、早い判断が求められます。会社にいると必ず誰かの承認や許可が必要になることが多いのですが、自分だけなら自分の判断で動くことになります。アフリカの言い伝えに、「早く行くならひとりで行け、遠くに行くならみんなで行け」という言葉がありますが、まさにいい得て妙だと思います。

 

ただ、そんなフリーランスですが、常に“ひとりで働く”訳とは限りません。

大きな仕事などは、同業者や他業者などとチームを組んで仕事にかかることもたくさんあります。フリーランスだからと言っても、チームの人や顧客と協働・協業することはたくさんあります。「人と仕事をするのが煩わしい」だけでは、ほんの一握りの芸術家などは除き、組織人はもちろんフリーランスとしても働くのは大変だと思います。

 

 

●「複役社会」でのフリーランス

 

 前述のように、誰しもがフリーランスに向いている、わけではありません。しかし、複業が当たり前になる「複役社会」においては、瞬間的にフリーランスになる人も含めて今よりも多くのフリーランスが増えることになります。

 一つの組織や肩書きで勝負する社会では、組織人とフリーランスはその考え方や環境の違いに互いへの無理解も多くありましたが、今後そういう見方が減っていくと思います。

 

 そうすると、組織自体がフリーランスを効果的に活用する、という文脈も増えていくと思います。今でも大手企業では(昔の名残か)“個人とは契約しない”既定の会社が多いのですが、緩和されていくと思います。

 

 私が注目するのは、「インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)」という働き方です。

これは、士業やアーティストなどフリーランス的な職業ではなくとも、個人が組織と契約して、雇用契約ではなく専門性を活かす“独立した個人”として働く形を指します。個人が複数の組織で働くまさに「複業」的な働き方です。‘03年くらいに日本でも団体が発足したのですが、まだまだ広がっているとは言えません。

 組織に属する形の方が成果を上げられる人や職種でも、複数の組織に属することで、組織に貢献するスタイルが確立すれば、これまでのフリーランス=個人で成果を出す人、の文脈を越えて新しい個人と組織の関係性ができるのではないでしょうか?

 さらに、最近ギグワークという言葉も出始めています。ギグとは、音楽の用語で言う単発のライブやセッションなどをさし、ギグワークはそうした単発の仕事などを指します。近頃では、単発のバイト等を紹介するアプリサービスも多く登場しています。

 ギグワークはその性質上、継続性がないのでその分一つの仕事の単価が大きくないと職業的に行っていくには厳しいものだといえます。多様な働き方の一種ではありますが、メインの働き方になるには経済・社会デザインの変革も求められるでしょう。

 

次回は、自治体と複業について考えてみたいと思います。