複(副)業制度を企業にどう導入するか

「“副業禁止”の禁止」という消極的なプランではなく、「複(副)業の制度を導入」しようという企業様が今後増えていくことが予想されます。

では、企業はどのような目的で、どのような人材に複業を進めていくのが効果的なのでしょうか?

 

1:(オープン)イノベーションの人材育成

 

まずは、イノベーションを目的とするケースです。自社の文脈のみならず、他者のビジネスにもパラレルにコミットし成果を挙げる経験こそ、新しい文脈でイノベーションを起こすことに向いています。


また、個人が副業的に関わるだけでなく、グループで何かの課題解決に向かうプロジェクト経験を積むことで、オープンイノベーション時代の実践的人材育成になると考えています。
また、自身で別のアカウントで“稼ぐ”経験は、自身のマーケティング感覚も磨きます。

 

2:セカンドキャリアを目指すシニア・ミドル社員

 

バブル世代に入社(1987-1992)した社員が平均で50歳を迎えており、多くの会社がこの世代の活躍を望んでいる一方、ピラミッド型の組織構造や年功序列型賃金によりなかなかシニア・ミドル層の働き方改革が進んでいません。


平均寿命や年金なども考えていくと、70歳や75歳まで働く世の中、つまり終身でいきいきと仕事する時代になります。今の企業を退職しても、まだ何年も職業人生は続いていくのです。
そんな時代には、一つの組織だけに属しているのは危険であり、経験を積んだミドル層こそ、積極的な複業やパラレルキャリアの担い手になってほしいと思います。


その経験が、実は現在所属している組織にも良い効果を生み、自身の役割創造に貢献すると思われます。

 

3:女性活躍推進の新しい一歩

 

女性のようにライフステージが多様に変化する方々にとっては、自身のキャリアや強みを、環境変化にどのように対応していくのか?というレジリエンス志向が問われます。(これは早晩男性にも求められるでしょう...)
こうした、働くレジリエンスを高めておくためにも、複(副)業は大変効果的になります。
また、女性は一般的には共感力が高く、様々な文脈の組織になじみやすいため、複業による成果を出しやすいと思われます。
また、NPO等の社会貢献団体にも女性が多いため、社会課題をビジネスに変換する担い手の観点でも、活躍のチャンスがあると思います。
(もちろん、男性でもそういう方はいらっしゃいます)

 

4:スタッフ系事務職(経理、人事、総務部門など)

 

会社の中では比較的黒子的存在のスタッフ系部門(総務人事、経理等)ですが、士業の方も含め、こうした領域での専門知識は中小事業者やNPO等非営利組織でも大変求められているものです。


普段会社にいることが多く、籠り気味の方こそ、是非「外の風」を浴びて頂いて、「お役所的」業務から脱し事務サービスとして自らのキャリアを考えるきっかけにもなるでしょう。

などなど、他にもいろいろあると思いますが、複(副)業を企業の組織風土や人材育成とむしろ積極的に絡めて考えていくことで、全ての人にとって実りある「働き方改革」になってほしいと思っています。